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カテゴリ:本( 46 )

マキアヴェッリ語録
塩野 七生 / 新潮社
ISBN : 4101181063
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塩野氏の厳選したマキャベリの名言集。塩野氏は最初にさらっと読者に向けたメッセージのみで、後はマキャベリの有名な君主論に始まり、政略論、戦略論やプライベートな手紙などなどからの生の言葉が。

所詮は人間、今も昔も行う事は大して変わらず、結局の所技術が進歩するだけで、只管歴史は似たような形を繰り返している。中世の人間の言葉とはいえ、今を生きる人間にも十分価値のある言葉ばかりだ。一国の主として、組織のまとめ役として、集団の指導者としての心得は納得する部分が多く、当たり前だろうとも思う部分もあり、たまにそうなのか?と疑問を感じる部分もあったりした。塩野氏もそのようで、ローマ人の物語の中でも似たような表現を引用している箇所があったように思う。

正直軽い内容ではあるので、たまーに見直すなどしつつ気軽に愉しめる一冊だと思う。時折、人生の指針に手を貸してくれる…かもしれない。



天国に行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである
by rucie4 | 2006-04-20 21:39 |
嗤う伊右衛門
京極 夏彦 / 角川書店
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原作の東海道四谷怪談など露知らず、ただ京極堂シリーズ、巷説シリーズが読み終ってまだ読んでないし、他に読みたい本が無かったので購入。実は巷説シリーズの又市が絡んできているというのも興味を惹かれた理由。これが多分最初の登場なのかな?余り小股潜りっぽさが感じられなかったし。

で、原作を知らない私としては、四谷怪談と言えばお岩さんとお菊さんが混同しており、顔の醜く爛れた女性が皿を数える、番町皿屋敷といった最早滅茶苦茶な知識しかない。しかしながら、内容は別に関係なく愉しめるものだった。

伊東の腹黒さ、反吐が出るほどの悪党さが目を見張り、岩の人間臭さ、伊右衛門の実直さが際立つ表現はさすがだった。そして、この時代劇風味溢れる切ないすれ違いなラブストーリーは、怖さよりも哀しさが上回っている。男と女、侍と商人、与力と同心、そういった差異から生まれた歪みが大きくなり、この悲劇を構成したのか…。くどいようだが原作は知らない…が、古典芸能だけにきっと良い出来なのだろう。

ちなみに映画も見て居ないが、いずれ見てみたい。唐沢寿明と小雪だし!


岩様―それではあなた様は只今―お幸せだと仰るか―。
by rucie4 | 2006-04-09 18:19 |
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
リリー・フランキー / 扶桑社
ISBN : 4594049664
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いやはや、欧州に旅立つ前にちらっと読み始めていたけれども、オーストラリアから帰ってきてやっと読了…。

あの下ネタマシーンのリリーさんが書いた切ない、誰にでも身近な内容で、読み易い。
多分三十代や四十路辺りの男(リリーさん世代)が読むとボロ泣きするのではないかなぁ?

私も、結構泣くかと思った。何にせよ、癌は痛々しい。10年前に似たような経験をしていたが、こうまでも似たような光景が展開されるのかと。痛み、苦しみがあっても其処に延命の可能性はないなら、治療とは無意味なものなのではないだろうか。緩和ケアこそ、奨励されるべきなのかは分からないが、人間、命とは難しいものだ。と、医療倫理の話は面倒なので此処まで。


以前から想っていた事と全く同じことが本文内にあったので、記しておく。

どれだけ親孝行をしてあげたとしても、いずれ、きっと後悔するでしょう。あぁ、あれも、これも、してあげればよかったと。
by rucie4 | 2006-03-22 16:42 |
塩野七生『ローマ人の物語』の旅
新潮45編集部 / 新潮社
ISBN : 4103540168
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えーと、有隣堂の中をうろついていたら発見!
イタリア旅行間近ということもあり思わず購入。
まだ全然読んでないけど、旅行に持ってこうかなと考え中。
重いですがね。。。
by rucie4 | 2006-02-18 23:49 |
新選組血風録
司馬 遼太郎 / 角川書店
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久々の司馬先生。
今回は、燃えよ剣のように新撰組幹部に視点があてられているわけではなく、平隊員の話がチマチマあったりといったようなオムニバス形式。大抵は斬首、切腹、討死といった血生臭い結末なのがなんとも・・・ 笑。

当時の京都でどれだけ新撰組が厭われていたか、内部が混沌としていたか、などというのを知るには面白い内容でした。しかし、衆道や切腹の失敗する叙述は吐き気がしましたが。。。



士道とは男道のことだ。漢とはかくあるべきだという勁烈な美意識である。
近藤、土方は、本来烏合の衆である新撰組の支配倫理をここに置き、これをもって隊法の最高のものとしてきた。

―諸事、士道ニ背ク間敷事。

by rucie4 | 2006-02-16 00:50 |
百器徒然袋-雨
京極 夏彦 / 講談社
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やっと・・・塩野七生のローマ人中に購入した百器~だけれども、とりあえずローマ人文庫版現行は読了したので、本棚から手に取り、読み始めたら面白いのでサクッと読み終り。

実に明朗快活、快刀乱麻、勧善懲悪ならぬ「勧榎木津懲悪」(文中より)の探偵大活躍の満足な巻。
普段の京極堂シリーズでは難解な謎がひしめくけれども、今回の三本立てはどれもシンプルな展開で、テンポも非常に良かった。

気になるのは、文中で出てきた連続新婦殺害事件てまだ文庫化されてない「陰摩羅鬼の瑕」なのかな?しかも京極堂シリーズ読み終わってから結構経っていただけに、主要ではない登場人物の思い出しに割と時間がかかったり・・・。まぁ、それ以外は愉しめたのでした。

あと、今回の語り手は他のシリーズで登場するのかしら…。割と関口と被っている感があるけどー。



「ハンムラピ法典かあんたは―」
中禅寺はそう云ってから眉を上げて、唆すなあと呟き乍ら視線を漂わせて暫く考え、縁側に置いてある洗い立ての釜を眺めて、
「あ―悪趣味なことを考えてしまった」
と云った。
榎木津は実に愉快そうな口調で、それだ、それで行こうじゃないか―と叫んだ。

by rucie4 | 2006-01-19 23:06 |
ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉
塩野 七生 / 新潮社
ISBN : 410118173X
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実は2006年初投稿かも。地味に忙しかったのかな、最近。
ヴェスパシアヌスの死により即位したティトゥスの短い統治と、死後に記録抹殺刑にあってしまった弟ドミティアヌスの統治、そしてネルヴァという五賢帝時代にさしかかる巻。
ヴェスパシアヌスが敷いた順調に即位する為のレールを歩んだティトゥスは、それまでの実績を生かすだけの善政だったと言える。だが惜しくも数年で病死してしまったからいえるのかもしれないのは確かだ。それに代わって弟のドミティアヌスは約15年もの長期間の統治であっただけに、暗殺という幕切れでフラヴィウス朝が潰える事になってしまった。しかし政治家が失脚せずに有終の美を飾れることは少ないのではないだろうか。

そして、人々から愛されていたティトゥスの短い統治の間に起こった災害は、悲惨を極めるものだったのだろう。ヴェスヴィオ火山の噴火によるポンペイの沈没は当時の手紙を見る限り現代の阪神大震災よりも酷いことは確かだ…。

来月末、卒業旅行としてイタリアを回るが、早く色々な街を見て回りたい!



灯一つない閉めきった部屋の中にでもいるような、奇妙な感じの夜だった。その暗闇の中に、叫び声だけがとび交っていた。女たちが嘆き悲しむ声、子供たちの泣き叫ぶ声、男たちの怒鳴り声。親を探す声、子を呼ぶ声、妻を夫を、声で聞き分けようとして呼びかける声。あるものは自分たちの運命を嘆き、他の者は肉親を襲った不幸を嘆き、別の者は、死への怖れのためにかえって死を呼ぶ。多くの人は両手を上にあげて神々に祈っていたが、それと同じくらいの数の人が、もはや神々はいない、この闇は永遠につづいて世界の終末に至るのだと叫んでいた。



皇帝の死を知った人々のすべてが、心の底から嘆き悲しんだ。ユダヤ王女との結婚に反対して競技場でブーイングを浴びせた一般市民も、それをまじめに受けて独身のままで通したティトゥスを愛していた。被災地で陣頭指揮をとる皇帝。公衆浴場でもしばしば見かけた皇帝。庶民にとっての理想の皇帝を、ティトゥスは体現していたのである。ティトゥスは、恒例になっていた皇帝から市民に贈るボーナスを、一度も実施していない。だが市民たちは、たび重なった災害に彼が私財を投げ出したのを知っていた。

by rucie4 | 2006-01-12 00:54 |
ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中)
塩野 七生 / 新潮社
ISBN : 4101181721
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ガリア帝国の反乱と、ユダヤ戦役、そしてヴェスパシアヌスの死までの巻。
ガリアの反乱は内乱が引き起こしたにしてしまったにしても、ユダヤ戦役の方は普遍であるローマ帝国で特殊を貫こうとしたユダヤ人との避け難い衝突に過ぎなかった。これらの混乱を沈めた後、帝国の本格的再建が始まった。

ヴェスパシアヌスは、天才でもないけれど、愛敬があり真面目で責任感の強い人間であったとされている。実際に、これといって目新しい事は行っていないが、見事にカリグラやネロによってバランスを崩していた帝政を上手く建て直したと言っていいのではないか。

これにより、更にローマの寿命は数百年延びたといえるだろう。そしてこの三代後より人類史上最も幸福であった時代が始まるのだから…。


話は変わるが、12月28日にハードカバーのローマ人の物語XⅣ「キリストの勝利」が発売された。遂にラスト一歩手前。滅亡の道を転がり続ける西ローマ帝国が、キリスト教に支配される時代は、今の時代よりも恐らく読むに耐えない悲惨さなのかもしれない。文庫版がいつになるかは分からないが、読む日を愉しみにしている。まずは、とりあえず来年無事完結してくれることを願う。



「かわいそうなオレ、神になりつつあるようだよ」
by rucie4 | 2005-12-31 14:26 |
ローマ人の物語 (21)
塩野 七生 / 新潮社
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血生臭い内乱の時代、歴史上「三皇帝時代」といわれたわずか1年と少しのお話。
前巻の題名が「悪名高き皇帝たち」であったが、彼らは皇帝としての能力が完全に欠けていたわけではなかった。しかし、今回出てきて登位しては殺されていった、あるいは自死を選んだ三人は、愚帝であったとしか言えない。
積極性に欠け、兵士達の人心掌握が出来なかった…、それこそネロ以下であったと思う。

この巻の終りに三人目の皇帝ヴィテリウスが殺された事により、賢帝ヴェスパシアヌスが中巻でメインになっていくのだと思うが、実際此処まで酷い危機を迎えても尚上手く立て直し、後数百年持った帝国の基盤は分厚かったと言うしかない(巻中で塩野氏も記しているが、今までにも幾多の危機を乗り越えてきてはいるわけだが)。



戦闘という人類がどうしても超越できない悪がもつ唯一の利点は、それに訴えることが、これまで解決できないでいた問題を一挙に解決できる点にある。しかも、圧勝でなければ意味をもたない理由もここにある。
by rucie4 | 2005-12-17 00:25 |
ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4)
塩野 七生 / 新潮社
ISBN : 4101181705
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少々ペースアップで読了。
「暴君」として有名なネロの統治。
確かに母殺し、妻殺し、キリスト教徒迫害と悪行を羅列すれば残酷であり、建築やギリシア文化に傾倒しすぎる愚行もあったが、善政が無かったわけではなかったし、暴君とは言い過ぎではないかと思わせられた。

ただ皇帝の器にしては少々小さかった、だけなのかもしれない。
それこそアウグストゥスまでとは言わないまでも、少々の政治的センスさえあれば、30歳の短い生涯ではなく、それこそ賢帝と言われるような統治も出来たのではないかとさえ思う。実際にセネカが片腕として居た時代の統治は善政と言われていたりもするのだし。

これにて、悪名高き皇帝たちは終り。
そして、あれだけ「血」に拘っていたアウグストゥスの野望も潰える事となり、再び1年半の内乱の時代を迎えるようだ。次巻の「危機と克服」は既に購入してあるので、読み始めたいと思う。



愛好者と創造者は必ずしもイコールにはならないが、ネロも多くの愛好者と同様に、イコールになると思っていたのだろう。ただし、文化国家を唱え、熱心に文化の移植や交流に取り組むのには、愛好者のほうが適しているのである。


歴史は、侵略の歴史でもある。つまり、人間の悪業の歴史でもある。これが人間性の現実ならば、悪事による弊害をいかにして少なくするか、にも、人間の知恵を働かせる場所はある。

by rucie4 | 2005-12-11 23:32 |